研究概要 |
本研究は電子パッケージ薄膜配線のエレクトロマイグレーション(以下EM)損傷支配パラメータを特定し,これを用いたEM損傷の普遍的強度評価法を開発することを目的とする。本年度は以下の研究を実施した。 (III)バンブー配線におけるEM損傷支配パラメータの実験検証 サブミクロン幅の折れ曲がるバンブー・アルミ薄膜配線を対象として,加速通電試験の結果とバンブー配線のための支配パラメータによる強度評価結果を比較した。配線の強度評価にあたっては,設定した配線形状,基板温度,入力電流密度に対して数値計算を行い,配線全体の電流密度および温度の分布を求め,バンブー配線のための支配パラメータの式に入力し,配線全体で同パラメータの分布を求めた。ここに,配線の物性値は加速試験に供される配線を用いて観察および実験により求め,配線構造の観察には電界放射型電子顕微鏡および集束イオンビーム装置を用いた。これにより,設定した配線形状,環境でのEM強度評価を行った。一方,加速通電試験にあたっては,微細回路通電用プローバ・システムにより定電流電源より発生した一定電流を試験片に負荷するとともに,電流・電圧をデータ・レコーダにより記録した。通電後,試験片を走査型電子顕微鏡および原子間力顕微鏡により観察し,損傷状況を把握した。 以上により,種々の条件下における実際の配線の損傷状況すなわちボイド体積と同支配パラメータよるボイド体積予測値を比較してこれらが良好に一致することを示し同支配パラメータの有効性を確認することにより,EM損傷支配パラメータを用いた電子パッケージ薄膜配線強度の普遍的評価手法の確立を行った。
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