研究概要 |
1.はじめに 携帯電話および高性能ミニノートコンピュータ等に代表される様に,現代社会において,より信頼性が高く高密度な大規模集積回路(VLSI)の生産技術の進展は国家的にも極めて重要な課題と考えられる.このVLSIの主たる原料はGaAsである.そして,GaAsウエハの原子配列レベルにおける合理的な品質管理技術の確立が,現在,強く求められている. 2.申請者らが行ったこと 上記の強い社会的要求に応え,申請者らは,(100)GaAsウエハの良・不良を確実に弁別する技術を提案した.具体的には,市販の(100)GaAsウエハに残留する極めて微小な応力を,非破壊非接触で定量評価すると共に,工業的に最も合理的と思われる評価方法をも提案した.すなわち,文献調査や本実験の結果から考察し,現時点では,(100)GaAsウエハについては,ウエハのセンターライン上で<001>結晶方位から22.5度傾いた方位上の応力状態を1mm程度の間隔で測定すれば,そのウエハの全体の応力分布を類推出来得ることが明らかとなった.これらを実現するため申請者は,光弾性実験法に赤外線レーザと光弾性変調器(複屈折を電気的に制御できる能動的光学素子)を採り入れ,高精度かつ高感度な複屈折位相差測定装置に改良を加えてきた. また,鏡面仕上げされていない,すなわち半導体ウエハ製造プロセスの比較的初期の段階のウエハについても良・不良評価の可能性を確認した.これにより,莫大なエネルギーを消費する事で知られる半導体プラントの省エネルギー化に大きく貢献し,地球環境保護にもつながる成果が得られたと考えられる.
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