研究課題/領域番号 |
10750096
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械工作・生産工学
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研究機関 | 山口東京理科大学 |
研究代表者 |
清原 修二 山口東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (40299326)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | CVDダイヤモンド薄膜 / 電子サイクロトロン共鳴プラズマ / 原子間力顕微鏡 / レーザラマン分光法 / 微細ラインパターン / 電子ビームリソグラフィ / ナフテン酸金属塩 / 電子サイクロトロン共鳴 / ダイヤモンド / 酸素プラズマ |
研究概要 |
ダイヤモンド薄膜電子デバイスの技術課題の一つである微細加工技術に注目し、ダイヤモンドに対して活性な酸素ガスを用いてCVDダイヤモンド薄膜の電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ加工の加工特性(加工速度のマイクロ波パワー、ガス流量、負バイアス電圧依存性)について検討し、最適加工条件を見出した。実験試料には単結晶シリコン基板[10×10×5mm^3]上に熱フィラメントCVD法で合成し、表面を機械研摩により鏡面仕上げしたダイヤモンド薄膜[膜厚12μm、表面粗さRa10nm]を用いた。その加工は、ECR型プラズマ加工装置で行った。加工前後の表面粗さの測定には、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、結晶構造の評価には、顕微レーザラマン分光法を用いた。また、電子ビームリソグラフィ技術を利用したCVD(化学気相合成)ダイヤモンド薄膜の超微細ラインパターン形成についても検討した。電子ビームリソグラフィで微細パターンを形成するのに最も重要なものがマスクレジストであるが、本研究では、酸素プラズマに対して耐性のあるナフテン酸金属塩をマスク材料として用いた。そのために、ナフテン酸金属塩の露光特性およびECR酸素プラズマ加工特性について検討し、最適露光条件で描画を行い、また得られた高選択比で加工を行い超微細ラインパターンを形成した。その結果、加工速度はガス流量の増加とともに増し、3sccmで最大となり、その後ガス流量の増加とともに減少した。これは3sccmまでの低ガス流領域では反応ガスが不足し、3sccm以上の高ガス流領域では活性種の排気によって制限されるため加工速度が減少すると考えられる。負のバイアス電圧-200Vまでは化学的作用により表面粗さは増加するが、それ以上では、化学的作用に物理的なスパッタリングの作用が相乗され表面粗さは減少した。バイアス電圧を印加しない場合、5hr加工後においても結晶構造に変化はなかったが、バイアス電圧-200Vを印加した場合、加工時間1hrまではダイヤモンドを示す1333cm^<-1>のピーク(sp^3軌道)と基板のシリコンを示すピーク(520cm^<-1>)のみであったが、2hr以上ではそれらに加えて無定形炭素を示す1500cm^<-1>付近にブロードなピークが現われ、5hrになるとグラファイトを示す1580cm^<-1>(sp^2軌道)のピークが現われ、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜に変化した。ECR酸素プラズマ条件:マイクロ波パワー300W、ガス流量3sccmで、基板バイアス電圧0V、-100V、-200Vにおいて選択比は、それぞれ約10、12、14が得られた。これらの条件で1時間加工後の線幅1、0.5μmのラインパターンの高さは、(a)V_b=0Vで約1μm、(b)Vb=-100Vで約2μm、(c)Vb=-200Vで約3μmと負のバイアス電圧が増すことで、化学的作用にスパッタリングによる物理的作用が相乗され、高さは得られたものの、スパッタされたマスクが表面に付着する残渣の影響で、表面性状が悪化することが分かった。また、顕微レーザラマン分光法を用いて、作製したパターンの結晶構造を評価した結果、作製前と同じラマンピークを示し、結晶構造に変化はなかった。
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