研究概要 |
ER流体を用いることにより,可動部なしで電気信号で直接流体パワーを制御することが可能となる.本研究課題はER流体を作動流体としER流体の粘性変化を利用した,粘性駆動による新しい動作原理の高機能アクチュエータ(ERアクチュエータ)の提案および実現を目的としている.本年度は,まず,直動形ERアクチュエータ数学モデルの確立およびマグネットカップリングを用いた直動形ERアクチュエータの提案および試作をおこなった.実施結果の具体的内容は以下のとおりである. 提案するマグネットカップリングを用いた直動形ERアクチュエータの原理は,つぎのとおりである.アクチュエータ内に2組の可動電極により構成される流路を設け,2組の電極間には対向したER流体の流れをつくる.ER流体は供給圧力一定または供給流量一定でアクチュエータへ供給される.印加する電極対を変えることで内部の可動電極は左右に動く.この可動電極の動きを外部に取り出すことで直動形アクチュエータを実現することができる.可動電極の動きを外部に取り出す際に,本研究では,マグネットカップリングの採用により密閉構造を実現し,ER流体の外部漏れを防止した.直動形ERアクチュエータの試作に際しては,平行平板間をER流体が流れる際の数学モデルを基礎とする,直動形ERアクチュエータ数学モデルを提案し設計指針とした.実用的なERアクチュエータとして,最大発生力を60N,最高速度を1.15m/sとしてアクチュエータを設計および試作した.試作した直動形ERアクチュエータの大きさは,100×350×50mmである.試作した直動形ERアクチュエータの特性評価をおこない,可動電極の軸受けにER粒子が混入する問題があることが明らかになった.今後の課題としては,可動電極の軸受け対策が挙げられる.
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