研究概要 |
流体中に固体の粒子が懸濁した固液混相流について,流体の速度と粒子の位置の情報を同時に得るための可視化画像計測システムの構築を,本年度は発光ピーク波長の異なる2色の蛍光染料を用いたシステムヘの拡張を中心に行い,低レイノルズ数領域で静止流体中を浮上する球群の運動と周囲の流れ場の同時計測を行った.この結果,以下の知見を得た. 1.(1)蛍光条科Marina Blue/紫外線発光ダイオード/ダイクロイックブルーフィルタ(<475nm)+シャープカットフィルタ(>420nm),(2)蛍光微小球Fluoresbright(NYO)/アルゴンイオンレーザー(514.5nm)/シャープカットフィルタ(>540nm),の組合せをそれぞれ球および流れ場に適用することにより,蛍光画像を分離して撮影することができた. 2.2台のカメラを用いて,二次元のカメラ座標と三次元の物理座標をダイレクトマッピングで関係付けることにより,対象とカメラ間の容器壁面で屈折が生じる場合でも適用可能な,回転を含む粒子運動の三次元計測システムを確立した. 3.流れ場の計測において,屈折率整合を行った結果,シート光を横切る粒子背後にできる影の部分による速度場の欠損がなく,またシート面とカメラの間に位置する球の背後の速度場も得られた. 4.単独球の場合は回転を伴わずに浮上していくのに対して,球群の運動では,粒子同士が流体力学的な相互作用をするため,時間の経過とともに配置を変化させ外向きの回転運動を伴いながら上昇していく様子が捉えられた. 以上より,本計測手法は時々刻々三次元的に配置を変える球群の連動と流れ場の解析に適用できると考えられる.今後は,レイノルズ数がこれよりも高い場合やせん断流中における粒子群と流れ場の計測に発展させていく予定である.
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