研究概要 |
衝突噴流による粒子状汚染物質の分離・飛散現象の理解と飛散率の定量的な予測を目的とし、衝突噴流による粒子飛散実験を行った。本年度の実験では、昨年度構築した飛散率測定システムを用い、約120msec以内で終了する初期飛散過程での飛散率(初期飛散率)と、それ以降10秒程度まで持続する二次飛散過程での飛散率(二次飛散率)での飛散率それぞれを、噴流操作条件とノズル形状を変えて測定した。また、壁面気流圧力を実測し、初期飛散率および二次飛散率と気流動圧との相関を検討した。その結果、以下の知見が得られた。 1.粒子径の異なる4種類の粒子(3,5,7,10μm)のどの場合にも、ノズル内圧力の増加およびノズル-粒子付着表面間距離の減少に伴い、初期飛散率は増加する。また、ノズル内流路面積が出口部において急激に減少する形状のノズル(ノズルA)に比べ、流路面積が徐々に減少するノズル(ノズルB)の方が粒子の飛散効果は高い。 2.1.の気流操作条件およびノズル形状による初期飛散率の違いは、壁面気流圧力の実測値、すなわち、気流の動圧の実測値の違いにより説明することができた。すなわち、昨年度の仮説が立証され、初期飛散率については、気流動圧により予測可能であることがわかった。 3.二次飛散率を、初期飛散終了後に残存する粒子数に対する二次飛散過程で飛散した粒子の比で定義すると、初期飛散率と同様、壁面気流圧力の増加に伴い増加する傾向がある。しかし、壁面気流圧力と飛散率の相関は、初期飛散率の場合よりも低く、二次飛散過程は時間平均的な気流特性を反映する壁面気流圧力だけでは説明できない。
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