研究概要 |
平成11年度は,当初の計画どおり,高温域において,熱物性値測定法の基本原理の健全性について研究した.以下に,具体的な内容を示す. (1) 有限差分法を用いた熱物性値測定原理に関する研究:誤差を含む仮想の測定データを用いて,測定原理式となる主軸変換されていない非定常二次元熱伝導方程式の有限差分法による数値解析プログラムと熱物性値を求めるSimplex法による逆解析プログラムの健全性を確認した.今後,実験試料が直方体であることから,本測定原理を三次元問題に対応させることを検討し,解析プログラムについて研究を進める. (2) 等方性材料への応用:高温において,熱物性値が既知の等方性材料(チタンとステンレス鋼)に本測定法を応用した.そして,その誤差要因として,熱膨張による試料寸法の変化が熱拡散率成分に与える影響が大きいことが明らかとなった.今後,熱膨張による熱拡散率成分への影響を補正する方法を加えた測定原理式を検討し,本測定法に関する研究を進める. (3) 異方性材料への応用:板材から厚み方向に角度をつけて切り出した炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)に対する実験データによれば,繊維方向とそれに垂直方向を含む二次元平面内では,その熱拡散率の2階テンソル成分が直交異方性材料の座標変換則に従うことを確認した.また,熱拡散率成分の行列式の平方根は試料が切り出された板材毎に大きく異なることを確認した.今後,主軸が斜交する複合材料に本測定法を応用し,その座標変換則と主軸との関係について研究を進める.
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