研究概要 |
(1) 跳躍運動の計測: ヒトの跳躍動作における地面反力,筋電振幅,ならびに,ビデオ画像による跳躍姿勢を同時計測可能なシステムを構築した.本システムを適用し,腕の影響を考慮した上で跳躍実験を行った結果,地面反力は双峰的な振る舞いを示すこと,さらに画像解析と筋電振幅の結果とより,初めのピークが膝の伸展に,2番目のピークが足首の伸展に起因することが確認された.このことは,膝関節伸展動作中の終期において,重心移動速度の垂直方向成分が小さくなり始める頃に,足首関節がトルクを発生し始めることを意味する. (2) シミュレーションプログラムへの実装: 現段階では,ロボット本体の制御は,位置制御を基本として,目標位置を時系列的に与えることによって行っている.(1)で得られた知見をもとに,足首の駆動開始タイミングを遅延させて計算を試みた.その結果,前半は最大時の2〜4割程度の電流値以下に抑えておき,膝関節が最終角度までの中点を通過する近傍で、最終角度を目標角度として足首関節の駆動を開始することによって,双峰性の地面反力波形が得られたとともに,重心の上昇速度が約1割程度増加することが確認された. (3) 実機の改良: 腰,膝,足首角1自由度からなる3関節脚ロボット実機に足首ロール軸を付加して合計4自由度とした. (4) 定格外駆動PWMユニットの開発: 本研究においては,モータの駆動電圧を定格の1.5倍から2倍程度とする.ラッシュ電流が瞬時電機子最大電流を越えないためのリミッタ部とそれらの稼動状態をコンピュータによって非同期に取り込める回路を基本とする専用のPWMドライブユニットを開発し,その有効性を確認するとともに,今後の実機実験の安全性を向上させ,さらに,アクチュエータの長期疲労と短期疲労など昨年度に提案した概念を実験的に検証してゆくことが可能となった.
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