研究概要 |
本研究では,機械に発生したクラックの位置および大きさを,稼動中の動的応答からオンラインで検出できる手法を開発するための基礎的な検討を目的して,機械の基本的な構成要素であるはりを取り上げ,振動中のはりの応答データから,発生したクラックの位置および大きさを検出する手法について検討を行った. 平成10年度には常にクラックが開いているオープンクラックを対象に,クラックの位置と大きさを検出する方法を提案した.提案した方法の概要は以下のようである.まずはりを有限要素モデルでモデル化し,クラックをもつ要素は剛性が一様に減少するものとする.次に上記のようにモデル化したはりの定常振動応答と実際の応答が最もよく一致するように剛性の減少位置と大きさを定めることによりクラックの位置と大きさを検出するものである.提案した手法の有効性の検討を数値シミュレーションおよび実験によって行った. 平成11年度は,平成10年度に行った実験において不十分であった点をさらに検討し,詳細に実験を行った.本研究の成果をシンガポールで行われた国際会議Asia-Pasific Vibration Conference'99で発表した.また,はりがたわむ方向によってクラックが閉じたり開いたりするブリージングクラックの検出方法についても,理論的な検討を行った.この場合,クラックが閉じたり開いたりするため,系が非線形となる.このため数学的な取り扱いが難しくなるが,オープンクラックに対して提案した検出方法を修正することでこの場合でもクラックの検出が可能であるとの見通しを得た.さらに提案した検出方法を枠構造物に拡張することの理論的な検討も行った.この場合にも提案した方法を拡張することによりクラックの検出が可能であるとの見通しを得た.
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