| 研究概要 |
脚に疾患がある場合や,高齢者にとってより良い環境を工学的見地から提供するためには,第一にさまざまな状況における歩行の力学的特性を把握することが重要である.歩行の力学的特性の周波数領域における解析は,義肢の設計,リハビリテーションへの応用など実用的な面からも重要であり,大変興味あるテーマと考えられる.
実験装置は大型の床反力計(1.8m×0.6m)2台を用いて行なった。本年度は階段歩行、方向転換などの日常歩行の力学的データを主に収集解析した。本研究では以下の事項が明らかになった。
1.人の方向転換時の床反力特性についてウェーブレット解析を用いて歩行開始・停止動作との比較を行った。その結果、方向転換時の床反力特性は歩行停止と歩行開始動作を連続して行うような外形と考えられるが、各周波数レベルでは異なった特徴も現れており、周波数領域では異なった特徴もあることがわかった。
2.方向転換時のピークと方向転換角度の関係をグラフにすると必ずしも比例しない例が出てくる。しかし、評価パラメータとして水平方向床反力の積分値を取ると、方向転換角度とよく比例した結果が得られることがわかった。
3.人間の歩行開始時,停止時の体重心まわりのモーメントを床反力データから計算し,その特性を解析した.床反力計を用いて歩行停止時,開始時の3方向床反力および作用点のx,y座標を測定し,これらのデータから体重新まわりのモーメントを計算できることを示した.また,このときの体重新まわりのモーメントは非常に小さくなることがわかった.
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