研究概要 |
(研究実績の概要) 研究室にある遠心鋳造装置を用いて試供材としての金属-金属間化合物系傾斜機能材料(FGM)を作製する.鋳造による傾斜材料の品質を向上させるためには,それに見合う制御技術を導入する必要があり,そのためには未知であるFGMの様々な機械的性質を同定する必要がある.これらの性質を把握するために,アルミニウム(Al)基FGMおよび半熔融加工により組織の微細化を行ったAl基FGMを試供材として,ウェーブレット解析を応用し材料の耐摩耗性を検討するための研究を行った. (研究によって得られた知見) 本研究では,市販のアルミニウム(Al)インゴットとアルミニッケル合金(Al-20mass%Ni)を素材として,真空遠心力法にてAl-Al_3Ni傾斜機能材料を作製した.これを試供材として用い,以下の結果を得た. 1.研究室で作製したピン-リング型摩耗試験機を用いて,乾式摩耗試験を行いFGMの摩耗率を求めた.更に実験を繰り返すことにより,FGMの優れた耐摩耗性を実証することができる. 2.傾斜材料の組織傾斜分布と上記1.で得た摩耗率との関係を明らかにするために,材料表面をデジタル画像として取り込み検討し,半熔融加工を施したAl-Al_3Ni傾斜機能材料に対して行った同様な実験により,作製した半溶融加工システムを改良する必要性があることがわかった. 3.半熔融加工時の温度と組織の微細化の関係を検討するための基礎実験として圧縮軸方向のFGMビレットの変位を測定し,得られた変位曲線より組織と温度との関係を明らかにする目処がたった.
|