研究概要 |
超伝導コイルの実用における問題点のひとつである電磁力による導体の変形を予測・評価するために力学モデルを提案して解析を行ってきた。試験用SMES(ESK)の要素コイルの通電時の電磁力変形の測定結果について,この力学モデルを適用し考察を行ってきたが,これまでに定性的には説明が可能となったが定量的には不明な点もあった。その原因のひとつとして,昨年度まで検討していた力学モデルではコイルの曲線部分の変形を直線的に変形する単純伸びとしたモデルであったことが考えられる。そこで,今年度は,この部分の変形に曲りはりの変形の影響を考慮して,単純伸びのモデル(従来のモデル)での変形と比較をした。一般に曲りはりに力が加わって変形するとき,直線状のはりに力が加わって変形するよりも変形量が大きくなる。曲りはりの変形量は,はりの曲率と断面積の形状に依存する。対象としたコイルにこの関係を適用して,曲りはりとしての変形の影響を考えた場合,単純伸びのモデルと比較して約8倍変形しやすいという解析結果となった。以上の結果から単純伸びの力学モデルの曲りはりにおける等価縦弾性係数を算出して材料の縦弾性係数と比較検討した。 昨年度までの研究結果で,解析結果のパラメータから縦弾性係数を算出し,実際の材料の縦弾性係数を比較したところ場所によって1/2〜1/8となっていた。今年度,新たに検討した曲りはりの変形の影響を考慮すると実際の縦弾性係数に近い値となった。
|