研究課題/領域番号 |
10750232
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
外山 利彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10294159)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ナノ結晶 / 電界変調分光法 / フォトルミネッセンス / 遮閉効果 / モット転移 / 励起子 / 量子閉じ込め効果 / EL素子 / 薄膜ナノ結晶シリコン / プラズマCVD法 / 陽極化成法 / ラマン散乱スペクトル / 電子構造 / 量子サイズ効果 / 直接遷移 |
研究概要 |
本年度は、ナノ結晶における基礎物性研究、特にナノ結晶シリコン(nc-Si)を用いた光学遷移評価に関する研究を発展させ、同材料における発行機構解明を図った。加えて応用研究としてMn添加ナノ結晶ZnS(ZnS:Mn)の作製方法の確立ならびに薄膜発行(EL)素子の試作に関する研究を開始した。 まず前者では、前年度に引き続き、電界変調反射法による光学遷移エネルギーの精密測定を行った。同測定法により初めてnc-Si中に励起子による量子準位間遷移を分離観測することに成功した。この結果を有効質量近似による閉じこめられた励起子における遷移エネルギーモデルを用いて解析を行い、励起子のナノ結晶の平均サイズ、還元質量、運動エネルギーそして電子-正孔間のクーロンエネルギーに関して、定量化することに成功した。さらにフォトルミネッセンス(PL)測定結果と比較することにより、従来の発光機構とは異なる「高密度電子-正孔プラズマによる発光」モデルを提案するに到った。すなわち、nc-Siにおける発光は、従来のポテンシャル障壁による閉じ込めに加えてクーロンポテンシャルの遮閉によるモット転移により二重の閉じ込め(局在化)の結果引き起こされる事象であり、間接遷移であるSi(およびGe,SiC)特有の現象であることを示した。 また、後者では、試作したナノ結晶ZnS:Mn EL素子において、最大輝度約2cd/m^2の赤橙色発光の観測に成功した。同EL素子の作製方法は、従来の二重絶縁型EL素子同様の高周波マグネトロンスパッタリング法を用いており、今後の大面積化への可能性が示された。加えて、ナノ結晶ZnS EL素子の駆動電圧は約20Vであり、このような低電圧駆動でのEL発光は、ZnS:Mnにおいては、従来のバルク材料系を含めて世界で初めての報告である。これはナノ結晶ZnSにおける量子閉じ込め効果による発光効率の改善を利用した結果であると考えられ、同材料が高品位フラットパネルディスプレイ用材料として有望であることを実証した。
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