研究概要 |
非線形かつ多峰性の目的関数を最適化する新しい手法として,決定論的カオスによる大域的最適化手法が近年開発されている。単純なアルゴリズムで記述されるカオスによる最適化手法は,少ない計算量で優れた大域的最適性を実現する。ただし,汎用のアルゴリズムとして実用化するためには,様々の最適化問題を効率良く解くような漸近測度を持つカオスを設計する一般的手法を確立することが必要不可欠となる。このようなカオスの設計問題に対して,昨年度は学習則を新しく導入し、学習則によって最適化効率の高い漸近測度を有するカオスの自動設計が可能であることを示した。 今年度は,カオスニューラルネットワークに基づく組み合わせ最適化問題の解法に学習則を拡張し,カオスニューラルネットワークにおいても学習が有効であることを確記した。さらに,学習則が,カオスニューラルネットワークの探索領域を徐々に局在化し,カオス的探索のダイナミクスを最適解に漸近収束させる「アニーリング」の機能を持つことを確認した。これは学習に基づくカオスの最適化手法が,非線形関数の最適化問題だけでなく,工学の諸問題に現れる組合せ最適化問題にも応用可能であることを意味しており、大きな研究成果と考えられる。なお,研究成果については国内の様々の研究会で研究発表を行なうことにより専門家の公正な判断を仰ぎ,開発手法の実用性を確認した。
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