コンピュータネットワークの第2層データリンク層の技術であるATM(Asynchronous Transfer Mode)の物理的な伝送速度は155〜622Mbpsである。一方、第3層インターネット層で音声情報をIPデータグラムにカプセル化して転送するVoIP(Voice over Internet Protocol)の要求帯域は64Kbps以下である。遅延要求の厳しい音声情報のサービス品質(Quality of Service、QoS)を満たすためには、個々の音声コネクション毎にATM網への受け付け制御を行う必要がある。以上の速度差より、ATM網では数千から数万単位のコネクション制御が必要になるが、効果的に制御可能な技術としてLayer3 Switch、さらにはQoS制御を加味したMPLS(Multi-protocol Label Swithcing)がある。それらでは、通信要求に応じてコネクション毎に経路を設定し、カットスルー技術によって高速転送が可能である。 ここでは、Layer3 Switchにて設定可能な経路数と、性能指標であるカットスルー率、平均データグラム転送遅延、ミスオーダ率の関係を待ち行列理論を用いて理論解析により明らかにした。さらに経路の設定方式であるフロー駆動方式とトポロジー駆動方式の性能についても同様に評価し、それらの性能比較を行った。
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