研究概要 |
本研究の目的は,研究代表者が従来より研究してきた多目的ロバスト制御系設計理論を,実システムを対象とした制御系設計に適用するための実際的な方法論を理論的・実験的アプローチにより構築することである.この目的のために,理論面では,多目的ロバスト制御系設計において,制御対象の物理システムとしての構造を反映した補償器の設計法を導出した.その成果を,「スプライン型パラメータ依存二次形式を用いたゲインスケジューリング制御系の設計」,「ゲインスケジューリング制御系の設計におけるディスクリプタ形式の利用について」,「フィードフォワード項を持つロバスト安定サーボ系の設計について」として発表した.さらに,設計法を凸最適化に基づく数値計算による設計CADとして計算機に実装した.この成果を「On Numerical Solution to Parameter-dependent Convex Differential Inequalities」「切替が生じるシステムに対する動的補償器の設計について」として発表した.また,模型ヘリコプタの自動制御を行う制御系の設計を行った.模型ヘリコプタにセンサを組み込み,計算機および制御ボードと結んで制御系を構成した.制御対象のモデリングを,本研究で提唱している設計法に適合する形で行った.模型ヘリコプタを半固定としてテスト入力を加えて設計用モデルの同定および不確かさの大きさの見積もりを行った.センサ信号から制御入力を計算する制御則を,本研究の設計法を実装した CAD を用いて設計した.この制御則を実験装置に実装して実験システムを駆動し,良好な制御結果を得た.この成果を「模型ヘリコプタのモデリングと制御-ゲインスケジューリングを用いたコントローラの設計-」として発表した.
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