研究概要 |
前年度は,回転する柔軟梁(ヘリコプターのローターや宇宙空間における衛星の運動等の例を想定している)の運動は非線形であるが,緩やかな仮定のもとで受動性を有することを理論的に証明した. 今年度はその結果に基づき,安定化状態フィードバックの設計とその効果の実証をコンピュータシミュレーションによって行った.さらに,より現実的な出力フィードバックによる安定化制御則の設計に関する研究を行った.その結果,ハミルトン・ヤコビ方程式と呼ばれる偏微分方程式の可解性が問題の本質を表すことが明らかとなり,この基本方程式の性質や求解法などの研究を行った. 一方,ある条件のもとでは回転する柔軟梁の運動は必ずしも受動的でないことも明らかにしたが,このときフィードバック制御によって受動化することができるか,という問題についても考察を行った.現在までのところ,完全に整理されてはいないが,この問題は,理論的のみならず実用上も意味があるものである.
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