研究概要 |
突起とスタッドを併用した鋼板.コンクリート合成部材の付着せん断システムの特性評価に及ぼす載荷条件の影響は,昨平成10年度研究実績報告書に示したように,次の4点に要約できた. (1)スタッド近傍の薄鋼板の局所曲げひいては接合面の拘束度の影響は無視し得ない. (2)突起のみの付着せん断強度は,載荷条件に依らず研究代表者らが提案した算定式により評価できた. (3)突起とスタッドの併用により,スタッドは付着せん断強度の向上に寄与しないものの,付着せん断強度到達後には,スタッド特有な柔なずれ挙動が反映され,延性の向上が認められた. (4)突起とスタッドを併用した場合の破壊形式は,一例を除き,前田(2)の算定にて想定した突起前面でのコンクリートの局所圧壊による支圧破壊であった. これらの成果に基づき,本平成11年度は,この付着せん断システムの実用開発として,オープンサンドイッチ床版とパーフォボンドストリップ(ただし銅板を表面に使用しないので突起のみ)の2者への適用を試みた.両者より得られた結果を以下に示す. ●オープンサンドイッチ部材 (5)当付着せん断システムの採用により、大半の供試体にて,付着せん断破壊の発生を抑制すると共に,曲げ破壊などの異なる様式下での破壊に至り,ひいては耐荷性能の向上が得られた. (6)当付着せん断システムの採用の下での,付着せん断破壊は,既往のスタッドの降伏荷重と前出(2)の算定式の単純累加により評価できた. (7)前出(5)に関連して,既往の設計法の下での必要スタッド数の削減が図れることが分かった. ●パーフォボンドストリップ (8)突起付き鋼板を使用したハーフォボンドストリップのせん断耐力は,それを提案したLeonhardtらの設計せん断強度式を基本とし,突起の支圧投影面積比に比例して向上する傾向が認められた.
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