研究概要 |
平成10年度は超速硬セメントを用いて若材齢のコンクリートの圧縮疲労特性に関する実験を行った。圧縮疲労試験にはφ10×20(cm)の円柱供試体を用い、疲労開始強度(疲労試験を開始するときの圧縮強度)を変化させて油圧サーボ疲労試験機を用いて繰り返し荷重を与えた。載荷波形はsin波、振動数は10Hz、荷重レベルは下限荷重を疲労開始強度の15%に固定し、上限荷重を60%,70%の2種類、載荷回数は1万,10万,100万回の3種類とした。その結果、今回行った圧縮疲労試験条件では疲労を受けた供試体の方が疲労を受けていない供試体よりも高い圧縮強度が得られ、圧縮疲労による悪影響は認められなかった。この傾向は載荷回数が増加するほど、また上限荷重が高いほど顕著に現れた。そこで、この原因を調査するための実験を行った結果、疲労による内部温度の上昇、細孔容積が減少し緻密になることが明らかとなった。 平成11年度は綱繊維補強超速硬セメントコンクリートの若材齢における曲げ疲労強度特性に関する実験を行った。供試体には10×10×40cmのはり供試体を使用し、実験方法は圧縮疲労試験と同じ条件とした。その結果、強度が十分発現していないときに疲労を受けると著しく強度が低下し、また、じん性にも悪影響をもたらすことがわかった。この傾向は載荷回数が増加するほど、また上限荷重が高いほど顕著に現れた。これらの実験結果から、疲労荷重が作用するような部材においては十分な養生期間が必要であることが明らかとなった。
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