研究概要 |
一般に構造物の補修計画策定問題は,補修予算,劣化・損傷の状態,構造物の重要性などの様々な制約条件のもと,適切な補修箇所,補修時期,補修工法を決定する組合せ最適化問題として定義できる.近年,このような複雑で大規模な組合せ最適化問題に対して,遺伝的アルゴリズム(GA)やニューラルネットワークのような情報処理技術を適用して,近似解を効率的に導出するための試みが行われている.そこで本研究では,複雑で大規模な補修計画問題の最適化アルゴリズムについて検討するとともに,道路舗装および橋梁の維持管理に関する補修空間的,時系列的な諸問題ついても検討を行った. 本年度の研究実績としては以下のとおりである. (1) 道路舗装の補修計画に加えて橋梁も含めた道路ネットワークとして最適化問題を解いたところ,その規模の大きさから単純GAによる求解の限界を確認することができた.また,ニューラルネットワークについても定式化がより複雑になり求解の精度に影響を及ぼすことが分かった. (2) (1)の結果より,ニューラルネットワークおよびGAのそれぞれの適用範囲について確認できたことから,それぞれの補修計画案のビジュアル化を行うためのサブルーチンを開発した. (3) (1)および(2)を考慮して,ある程度の規模の道路ネットワークに対する維持管理の諸問題(予算と補修計画の関係,提供するサービスレベルと補修計画の関係など)についてライフサイクルコストの概念を導入して分析・検討し,導出された補修案の有効性や維持管理に関する方針について再確認した. なお,本研究成果は関連学会に投稿する予定である.
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