研究概要 |
本研究では,地盤注入材の挙動に影響する重要な要因として砂層地盤の間隙構造を挙げ,その構造の評価・表現法を見出すために,筆者らが提案の「空気圧入法」と従来法の「水分法」による間隙径分布を対比・分析した.既往の成果では,水分法の間隙径分布に較べると,圧入法では狭い間隙径範囲で頻度が高い均等な間隙径分布が得られることを認め,両者の分布形状の相違には,間隙が瘤状に広くなったりするなどの構造が反映していることを見出している.そして,間隙径分布と土粒子部分の状態量としての粒度分布との対応を調べた結果, 1.水分法による間隙径分布は質量基準による粒度と同じ分布形状を有し,圧入法による間隙径分布は個数基準による粒度の分布形状と類似する.一方で,両手法の間隙径は,提案のβ_r値と質量粒度の粒径によって表現できることが判明した.但し,β_r値は,土粒子形状係数,間隙比,均等係数により決まる係数である. 上記の相関性は,圧入法と水分法の分布形状の相違,それに起因の間隙構造を解明するための指針である. 一方,砂層の圧入法による間隙径分布は注入材の侵入性を考えるのに有用であることが判明して,砂層への懸濁径注入材(微粒子を水で溶いたもの)の浸透実験に基づき,スムーズに浸透注入するための条件を究明した. 2.注入材粒度・濃度,注入圧力(速度)の要因の影響を分析した結果,注入材の浸透性には,注入材粒度と注入前砂層の間隙径分布との関係が支配的であった.そして,注入材の平均粒径が注入前砂層の平均間隙径の4割より小さいとき浸透注入可能と判断され,更に,注入材粒径が砂層の平均粒径にβ_r/3を乗じた値より小さいとき浸透可能という注入材粒度の新たな選定指標を提案した.
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