研究概要 |
昨年度カラースリットPTVにおいて蛍光染料水溶液を注入したところ,蛍光染料水溶液とカラースリット光が競合し,両者共に不明瞭となることが解った.本年度は,カラースリットPTVと蛍光染料の同時併用に関して以下の3点について検討した.(1)断面撮影において2台のデジタルビデオカメラを使用し,その1台には蛍光染料水溶液の緑色をより強調するフィルターを装着することにより,より明瞭な組織構造のパターンと速度情報の抽出の可能性を検討する.(2)(1)の結果を踏まえて,カラースリット光膜の数を増やして組織構造のパターンと空間的な速度情報の同時抽出を試みる.(3)本手法を段落ち乱流に適用する. (1)の課題については,蛍光染料染料水溶液の濃度をかなり小さくした場合において,2色のスリット光膜でパターンと粒子流跡の両者をほぼ捉えることができた.水平断面においてその水表面付近にこの手法を適用した結果,組織構造の周辺では下降流,その中心で上昇流が形成されているという傾向が見られた.しかし,染料の濃度が小さいため組織構造のパターンの同定が目視では困難であり,これには画像処理等を含めたデータ解析の改良が今後重要である. (2)では,スリット光の配色数を3つ以上にすると組織構造のパターンおよび粒子流跡とも不明瞭となった.これらを解決するには,組織構造の立体パターンを可視化するために,トレーサーにわずかな熱あるいは密度差をもつ流体を用い,それを3次元的に捉えるセンサーの併用が考えられる. (3)については段落ち乱流に本手法を適用した結果,段落ち部下流の乱れの増大に,鉛直方向の顕著な組織運動が重要な役割を果たしていることが解った.
|