研究概要 |
交通施設整備事業に対して,同一・近隣地域に複数の施設が整備されたり,需要に対して過大であるなどの過剰投資批判がある.その一方で,慢性的な渋滞を引き起こしている都市内道路やすれ違いができないほど幅員が狭い山間地を通る幹線道路などのように地域によっては明らかに不足している施設もある.また,適切な維持管理や効率的な運用がなされてなく利便性を低下させているものもある.このような状況を是正するには,既存施設の整備状況や利用状況および利用者の満足状況を的確に把握・評価し,地域・交通計画にフィードバックさせる評価システムの確立が急務である。 そこで,本研究では交通施設ストックおよびサービス水準の評価システムを確立することを目的としてきた.本年度は昨年度に引き続いて既存研究のレビューを行い,評価のあり方や手法を整理し,多数の評価指標群を体系的に用いた評価システム(運用方法を含む)の構築を試みた.また,構築した指標体系を高知県中部地域に適用するケーススタディを試みた.データ整備が不十分であったものの,指標によって交通施設ストックと交通サービスの地域的偏差が表現できることを確認した. しかし,構築した評価システムは1つの提案にすぎず,改善・改良を加える必要がある.また,指標による計測評価は継続的に実施することで,より一層の効果を発揮できると考えており,継続的な適用が望まれる.
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