研究概要 |
本研究は、我が国の緩和ケア医療施設の施設整備の現状を詳細に把握するとともに、患者のライフステージに対応した緩和ケア医療施設の総合的な計画指針を設定するための基礎研究である。本研究によって得られた知見の一部を以下に示す。 1,我が国の施設整備の実態把握 (1)1998年12月1日現在で緩和ケア病棟の認可を受けている49施設を対象に、郵送によるアンケート調査を行った。調査シートは 1)施設基本情報、2)病棟面積配分、3)施設環境評価の3種類で構成した。調査票1)の有効回収数は37件(有効回収率75.5%)、調査票2)は25件(51.0%)、調査票3)は38件(77.6%)であった。また、既存の資料や文献から施設整備の現状に関する補足調査を行った。 (2)施設の形態別にみると「院内病棟型」が34施設、「院内独立型」が12施設、「独立型」が3施設となっている。また、形態別の平均病床数をみると「院内病棟型」が17.1床、「院内独立型」が20.5床、「独立型」が24.3床となっており、独立型の病床数が他の形態に比べて多くなっていることがわかった。 2,緩和ケア病棟の利用特性 緩和ケア病棟における患者とその家族の生活実態を把握することを目的として、特定の緩和ケア病棟において病棟内での参与観察調査、患者属性調査、病棟スタッフへのヒアリング調査を行った。 (1)患者の平均年齢は男女ともに60代であるが、40代から80代まで幅広い分布を見せている。 (2)患者の約半数に癌の転移が見られ、中でも身体機能の低下につながる部位への転移が多い。 (3)施設利用回数と在院期間をもとに以下の3つの利用形態に分類することができる。1)死亡直前の短期入院(1か月以内)、2)症状コントロール目的の短期入院(約1か月)、3)長期入院(2か月以上)
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