研究課題/領域番号 |
10750469
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・意匠
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横山 千晶 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (60220571)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | ウィリアム・モリス / クリストファー・ドレッサー / 帝国主義 / ダーウィニズム / 『ジョン・ボールの夢』 / ユートピア / ジョン・ラスキン / フラワー・パターンデザイン / 奥井復太郎 |
研究概要 |
本年度は二つのテーマで研究を行った。ひとつはインテリアデザインとダーウィニズムの関係についてである。そして今ひとつはウィリアム・モリスのユートピア論についてである。第一の研究テーマにおいては、前年の研究成果を踏まえている。前年の研究では、クリストファー・ドレッサーとウィリアム・モリスのデザインを中心に、それぞれがどのようにその時代を表現してきたのかということを跡づけた。今年はそれを踏まえて、彼らのデザイン論が、如何に「帝国主義」や「ダーウィニズム」というその時代の概念に影響を与えられたものなのかを探ってみた。ドレッサーが「力」を、そしてモリスが「成長」をそれぞれのデザイン制作の基本としたことから予想されるように、これらは当時の「帝国主義」、そして「ダーウィニズム」の概念を具体化しているものと捉えられる。その最たる例がドレッサーとモリスのオリエンタルデザインの受けとめ方である。ドレッサーが次々に紹介されるオリエンタルデザインを、「手法」として積極的に活用したのに対し、モリスは「社会表象」として受けとめ、「死に向かう東洋文明と限りない成長を続ける西洋文明」という2極論に基づいて否定する。また、美=力と捉えたドレッサーは、デザイナーという仕事を他の人々を教え諭す父権的な役割を持つ指導者と定義する。この捉え方は、当時の帝国拡張の英国優位論をそのままデザインの世界に投影した結果といえる。このテーマは、他の表象文化も含めてこれからも研究課題としていきたいと思っている。第2のテーマは、ウィリアム・モリスのユートピア・ロマンス、『ジョン・ボールの夢』を中心にモリスのユートピア論の翻訳および研究を行うものである。単なる翻訳ではなく、14世紀を理想の時代を捉えていたモリスのユートピア都市論を、綿密な時代考証を行いながら掘り起こしていくことが目標である。成果は1冊本として出版する予定である。
|