研究概要 |
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して調製したアルミナゾルに,陽イオン性界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を混合させ,密閉容器中40℃でゲル化させることにより,白色塊状のアルミナ-CTAB複合体を得た。ゲル化時間はCTAB含有率により変化した(例えば,CTAB含勇率40wt%で約40日,70wt%では約1週間であった)。複合体の熱重量分析により200〜300℃の間で急激な重量減少が起こり,500℃以上で重量がほぼ一定になることが確認された。この結果をもとに,複合体を空気中500℃で5時間焼成してアルミナ粉末を得た。得られたアルミナの-196℃における窒素吸着等温線を作製し,細孔特性の評価を行ったところ,メソ多孔質体であることがわかった。焼成する複合体のCTAB含有率の範囲は0〜70wt%とした。全試料の等温線は階段型(IV型)を示した。また,比表面積はCTAB含有率に依存せず,300m^2/g前後と比較的大きな比表面積を持つことが確認できた。一方,細孔容積と平均細孔直径は,CTAB含有率の増加に伴い,直線的に増加した(細孔容積:0.26〜1.09ml/g,平均細孔直径:3.6〜13.4nm)。細孔径分布では,直径5nm以下と10〜20nmの二つの領域にピークが見られた。後者の細孔径は,複合体中のCTAB含有率の増加に伴い大きくなった。前者はカード型アルミナ微粒子間のスリット状の空間,後者はCTABを除去してできた空間を反映した細孔に相当することが考えられた。フラクタル次元は,平均細孔直径が小さいものほど高い値を示すことが確認され,2.5〜2.9次元の範囲に位置した。このことにより,形成されたメソ多孔質アルミナの表面は複雑には入り組んでいることが考えられた。得られたメソ多孔質アルミナはII型の窒素吸着-脱着ヒステリシスを示した。これはアルミナの二重細孔構造に起因するものと考えられた。
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