研究課題/領域番号 |
10750488
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京工業大学 (1999) 東京農工大学 (1998) |
研究代表者 |
和田 智志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60240545)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | チタンキレート錯体 / チタン酸塩 / 単結晶 / 微粒子 / 水熱合成 / サイズ効果 / チタン酸バリウム / 低温直接合成法 |
研究概要 |
昨年度、申請者はnmサイズのBaTiO_3等のチタン酸微粒子を合成する方法として、水熱方法では不可能であることを明らかにし、そのための新しい合成法として低温直接合成(LTDS)法を開発し、10nmサイズのBaTiO_3単結晶粒子の合成に初めて成功した。この方法は予め強塩基性にしたBa水溶液中に、強酸性であるTi水溶液を滴下させ、そのときに発生する中和熱を反応の駆動力として用いることで、直接TiとBaイオンからBaTiO_3を合成するものである。更に得られたBaTiO_3単結晶粒子について種々の分析を行ったところ、この単結晶中に含まれるBa/Ti原子比が1よりも小さく、また水酸基が結晶格子内に取り込まれており、Ba空孔を作って電気的中性条件を満足していること、また800℃以上での熱処理によりBaTi_2O_5というTi-rich相が一部生成することがわかった。そこで、これらの粒子中におけるBa/Ti原子比を1.00に近づけるため、2つの方法を提案した。1つは生成したBaTiO_3粒子に不足しているBaイオンを炭酸バリウムの形で加え、これを熱処理することで欠陥を消滅させる方法である。この方法を行ったところ、処理温度の増加とともにBa空孔は予想通り外部からのBaイオンによって補償されるものの、同時に第2層としてBa_2TiO_4というBa-rich相が一部生成すること、またすべてのBa空孔を補償できずBa空孔が一部残留するため、この方法では解決できないことがわかった。2つめはBaTiO_3合成時における水酸基の取込を抑えるため、LTDS法の原料に非水溶液を用いることである。このため、Ba溶融塩をBa源に、Ti非水溶液をTi源としLTDS法を行ったところ、nmサイズのままで欠陥濃度を低くできたBaTiO_3単結晶粒子の合成に成功することができた。現在、この方法を更に改良し、欠陥濃度を0にすることを行っている最中である。また、本研究を通して開発されたLTDS法をBaTiO_3以外のチタン酸塩であるBaZrO_3、SrTiO_3、SrZrO_3およびこれらの固溶体の合成に適用することに成功した。従って、LTDS法は数nm〜100nm以下の粒径で、しかも幅広い組成を持つ誘電体単結晶粒子の合成に極めて有効な方法であり、将来必要とされる電子デバイス作製のための誘電体微粒子粉末原料の合成法の候補の1つとなっている。現在、本研究を通して得られた成果をもとに、電子デバイス作製のための原料に用いるための研究を引き続き行っている。
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