研究概要 |
溶融塩NaBF_4-Na_2B_4O_7、処理温度1273K、処理時間4時間又は8時間で、溶融塩の組成比をNaBF_4:Na_2B_4O_7=1:0.5,1:0.75,1:1,1:1.5,1:2と変化させTiAlの溶融塩ホウ化処理を行なった。TiAlとしてTi-48%Alを用いた。処理後の試料は走査電子顕微鏡による断面組織観察、X線回折法とEDX,WDXによる組織の同定を行った。更に未処理材とホウ化処理材の静止大気中で1123Kにおける繰り返し耐酸化試験を行い、表面経時変化を観察した。1サイクルを5時間として40サイクルの酸化による質量変化を測定した。溶融塩組成比、処理時間によらず溶融塩ホウ化処理によって、TiAl,Ti_3Al,Al_3Ti,Al,TiB,TiB_2,Ti_3B_4などの生成が表面X線解析により確認された。SEMの断面観察とEDX,WDXの分析結果から生成層は2層で表面層は主にTiB_2、その下層はAl_3Tiで構成されていた。処理時間の増加もしくはNa_2B_4O_7の増加によって生成層の膜厚は上昇した。耐酸化試験の結果、未処理材は酸化時間の増加により質量は直線的に増加したが、処理材の場合には酸化初期の急激な質量の増加が見られたがその後の質量増加は緩やかであった。また、10サイクル経過後ほとんど質量増加のない処理材もあり、本処理法によるTiAlの耐酸化性改善に効果がある可能性を見出した。表面観察では、未処理材は酸化初期より白い酸化物が生成し、酸化時間が増加と共に剥離を繰り返した。処理材の場合には表面は黒色から黄土色へ変化していった。X線解析よりTiO_2、Al_2O_3、Ti_3Al、Ti-Al-Oの混合層、Al_2O_3およびTi_3Alが検出された。Ti-Al-Oの混合層はZ相と呼ばれるもので詳細については不明であるが耐酸化性改善に効果があると言われている。
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