研究概要 |
1.フッ素イオン共存下でのBEA型シリカおよびメタロシリケートの合成 触媒や吸着剤として注目されているBEA型多孔性結晶の合成を検討した。 BEA型シリカはTEOSとTEAOH水溶液を混合撹拌後、60〜80℃で加熱処理し、HF水溶液添加後、140〜200℃で水熱合成した。加熱処理を行わないと、結晶性の生成物は得られなかったが、60℃で2h処理した場合、結晶化温度140℃,12日の水熱合成で数十μmの大粒径の BEA型シリカが単一相で得られた。加熱処理80℃,24hでは、140〜200℃の結晶化温度でBEA型シリカのみが得られ、ゲル中の水とエタノールの十分な除去がBEA相を得るのに重要なことが見いだされた。BEA型メタロシリケートは、金属アセチルアセトナートをエタノールに溶解後にTEOSと混合して同様に水熱合成し、Al,Fe,Co,Ni,Crを含むBEA型の生成物が得られた。BEA型シリケートは従来法では1μm以下の微少な結晶しか得られず、その細孔内拡散は測定されていなかった。本研究で得られた試料はいずれも大きな粒子径をもつBEA単一相であるので、その詳細な検討が可能になったと考えられる。 2.クラウンエーテルを鋳型剤とするEMT型ガリウムシリケートの合成 アルカリ金属イオンと一価の蒿高い錯体を形成するクラウンエーテルを鋳型剤として、新規なEMT型のGaシリケートの合成を検討した。EMT型AlシリケートのAlをGaに置換すると、FAUが生成しやすくなるが、合成条件を最適化することで、Ga50%置換のEMT型Ga・Al-シリケートが得られた。また、これを種結晶に用いて水熱合成することで、ほとんどAlを含まないEMT/FAU型GA-シリケートが得られた。これらの試料は芳香族化反応などの触媒として利用できると考えられる。
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