研究概要 |
本研究の目的は,高性能電気二重層キャパシタ(EDLC)に用いるゲル電解質の開発である。平成10年度は有望なゲル電解質を種々合成し,EDLCに適した基礎物性を持つ系を探索した。この情報に基づき,平成11年度は有望な系をEDLCに適用し,諸特性を幅広く検討した。この際,特に溶液系EDLCに較べ,好特性を発揮する条件を精査した。さらにゲル電解質系が好適な性能を発揮するメカニズムについて解析した。1 ゲル電解質の電気二重層キャパシタへの適用 前年度の検討で得られた知見に基づき,好適な基礎特性を持つPVdFゲル電解質をEDLCに適用した。このEDLCの充放電試験を実施し放電容量,充放電可逆性を評価した。本年度の検討では具体的に溶液系EDLCとの性能比較を重要視し,有機電解液系EDLCとの特性比較を行った。その結果,溶液系よりも優れた放電容量がこのゲル系EDLCで得られた。さらに開回路での電圧保持特性はゲル電解質の方が大幅に優れていた。これらの場合ゲル電解質は溶液系よりもかなり高濃度の解離イオンを含有できることが判った。2 ゲル電解質が関与するメカニズムについての解析 ポリマーゲル電解質が関与するEDLCの作動メカニズムを総合的に解析した。特に漏れ電流特性,電圧保持性能などに強く影響を与える電極と電解質との界面の交流インピーダンス特性について,コントローラ(申請における主要設備)で制御した交流電圧発生器を用いて解析した。この結果ゲル電解質バルクのイオン移動が高速になる条件では,界面の電荷移動ならびに物質拡散も高速になることを見出した。このようにゲル電解質特性とは電極界面の特性との相関が明らかとなり,好適界面の設計指針が得られた。
|