研究概要 |
本年度は日本のJERS-1衛星とカナダのRADARSAT衛星による合成開口レーダ(SAR)画像を解析に用い,九州南部の桜島,およびインドネシア・ジャワ島のメラピ火山という2つの活火山を対象として,精度良い数値地形モデルの作成法についての基礎的な検討を行った。この際,マイクロ波の位相の情報を保った干渉画像とマイクロ波の散乱強度のみを表す強度画像の2種類を検討に用いた。得られた成果を要約すると以下のとおりである。 (1) 同一のシーンに対するSAR画像ではあるが,観測日が異なるために軌道が重ならないペア画像を用い,これらの適切な重ね合わせ法について検討した。その結果,同一地点とみなせる対応点は画像から万遍なく10個以上選び,画像の幾何変換には低次の多項式を用いるのが妥当であり,重ね合わせの平均誤差は0.3ピクセル以下に抑えることが必要であることが明らかとなった。これらが満足されないと,重ね合わせの良否の指標である干渉縞(インターフェログラム)を画像全体にわたって得ることができない。 (2) 地形が平坦な場所において1ピクセル当たりのフリンジ数を算出することで,衛星の軌道の相違に起因した軌道縞を干渉画像から適切に除去する手法を開発した。除去後の画像から地形の標高を求めるには軌道間距離の視線方向の成分が重要な因子となることがわかり,その成分の値を導くための計算式を明らかにした。本手法によって推定された標高は,地形図から読みとった値と概ね対応した。 (3) RADARSATよりもJERS-1SAR画像の方が軌道の揺れが少ないので,強度画像のステレオ視から標高を算出するのに適していることがわかった。
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