研究課題/領域番号 |
10760007
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
堀端 章 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (70258060)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イネ / 突然変異誘発遺伝子(mutator) / 細粒遺伝子(slg) / 復帰突然変異 / 組織培養 / 細粒遺伝子 |
研究概要 |
イネゲノム内の他の遺伝子座に新たな変異を誘発するmutatorを突然変異育種上の新たな変異原として効果的に利用するには、その発現契機である細粒遺伝子(slg)の復帰突然変異が安定的に高頻度で生じる必要がある。しかしながら、多数のslgを持つ細粒系統の中には、slgの復帰突然変異頻度(RMF)が著しく少ない系統が少なからず認められる。本研究は、組織培養によってこれら低RMF系統のRMFを増加させ、mutatorの有する突然変異誘発活性の有効な利用法を確立しようとするものである。 平成10年、育成経過の異なる40の細粒系統からRMFの比較的低い5系統(IM21、IM54、IM136、IM157およびIM294)を選び、系統ごとに、胚盤由来のカルスから得られた再分化植物(R_0細粒系統)と組織培養を経ていない細粒個体の自殖によって得られた細粒系統(NC細粒系統)との間でRMFを比較した。その結果、5系統の全てにおいてRMFの増加が認められた。 平成11年は、上記再分化植物中に見いだされた細粒固体の個体別自殖次代R_1細粒系統とNC細粒系統との間でRMFを比較し、組織培養がRMFに及ぼす遺伝的な効果を観察した。その結果、大部分のR_1細粒系統では組織培養によるRMFの有意な増加が認められなかったものの、少数のR_1細粒系統ではNC細粒系統に比べてRMFが有意に増加していた。 以上のように、組織培養は、培養植物(再分化当代植物)のRMFを増加させる効果を持つとともに、再分化当代では復帰突然変異を起こさなかった場合、すなわち再分化当代細粒個体にも、低頻度ながらRMFを増大させる効果を持つことが示された。したがって、これらの低RMF系統では、組織培養によってslgの復帰突然変異の生起頻度を増加させ、mutator変異誘発作用の安定発現を実現することは可能であると考えられる。
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