研究課題/領域番号 |
10760035
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柴田 英昭 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (70281798)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 森林生態系 / 物質循環 / 森林土壌 / 土壌溶液組成 / 多雪寒冷地 / 物質収支 / 融雪 / 土壌化学 / 土壌溶液化学 / 養分動態 |
研究概要 |
森林生態系における物質準過程における土壌中の物質動態を明らかにするために、北海道北部に位置する北海道大学農学部附属雨龍地方演習林内のM-1実験流域内において土壌溶液組成、土壌水分ポテンシャル、土壌体積水分率ならびに気相中のpCO_2濃度を経時観測した。調査地域は多雪寒冷地域に位置しており、年間降水量のおよそ半数が降雪として供給される。通年にわたる土壌溶液組成ならびに土壌内水収支の解析により、当該地域における年間スケールでの土壌内物質動態を考える上で積雪-融雪過程が非常に重要な役割を担っていることが明らかとなった。厳冬期間は積雪によって土壌表面の通気性が低下することによって、土壌気相中のpCO_2濃度が高まり、その結果土壌溶液中の溶存無機炭素濃度が上昇することが示唆された。融雪期における土壌への多量の融雪水の供給は土壌溶液のイオン濃度低下させると共に土壌から多量の物質を根圏下から溶脱させていた。 融雪期における土壌系での物質収支解析によって、土壌から正味放出した物質量は無雪期のそれらと比較して非常に大きく、とりわけNa、Mg、CaおよびCl、SO4では融雪期の正味流出量は年流出量のおよそ60〜95%を占めていた。CaやMgといった塩基性カチオンは土壌表面でのイオン交換ならびに一次鉱物の風化によって液相中に放出されたものと考えられた。土壌からの塩基性カチオン流出量は土壌の酸性化速度と密接な関係にあるといわれ、本研究の結果は寒冷地域における天然条件下での森林土壌の酸性化速度が融雪水による溶存成分溶脱の影響を強く受けていることを示しており、冬期間の気候条件や地球規模での環境変動に伴う降雪量の変動が当該地域の土壌酸性化速度に影響を及ぼす可能性を示唆するものであった。
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