研究課題/領域番号 |
10760041
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 講師 (50232434)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 寒冷シグナル / ハツカダイコン / bZIPタンパク質 / 根端メリステム / 記憶 |
研究概要 |
植物の低温に対する応答・適応機構には様々な遺伝子の発現変動が関与しているが、低温で誘導/抑制される遺伝子群を一括して統御する植物由来の転写因子について不明の点が多い。平成10年度では、根端において低温により発現が変動する複数のタンパク質の同定に成功し、このうちのいくつかは寒冷シグナルの記憶現象と関連があることを明らかにした。平成11年度においては、これらの低温で誘導されるタンパク質群を一括して制御することが予想される転写因子の単離と、その低温における誘導経路の解析を行った。その結果、ハツカダイコンの根より、bZIPタンパク質をコードする新規遺伝子(rdlip)の単離に成功し、本遺伝子が低温により特異的に活性化されることを突き止めた。さらに、rdlipの発現について詳細に解析した結果、低温における発現は根の中間部分で特異的であり、この低温特異的な発現はカルシウムキレーターであるBAPTAにより阻害されることが判明し、rdlipの低温における発現には細胞外からのカルシウムの流入が関与していることが示唆された。一方、rdlipの発現はシクロヘキシミド処理により常温でも誘導され、その根における誘導部位は、低温処理時とは異なっていた。さらに、シクロヘキシミドによるrdlipの発現誘導には細胞外からのカルシウムの流入の関与は認められないことから、rdlipの発現誘導には、カルシウムおよびシクロヘキシミドによって活性化されるシグナル伝達経路が関与していることが示唆された。本研究で得られた低温誘導性の転写因子と寒冷シグナルの記憶現象との関連を解明するためにはさらに実験を積み重ねる必要があるが、根における低温応答に関する基礎的な知見が得られたものと考えられる。
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