研究概要 |
SMPIはStreptomycesが生産する、蛋白性メタルプロテアーゼインヒビターである。SMPIの構造解析結果に基づき、SMPIの阻害ループ内の塩基性アミノ酸、ジスルフィド結合、及び、Pro残基が阻害活性発現に及ぼす役割を精査した。SMPlの構造解析から、SMPIとサーモリシンの静電的相互作用が重要であることが示唆された(J.Mol.Biol.,282,435-446,1998)。そこで、P5位のR60,P4位のK61,P2'位のR66に関して、各種変異体を作成した(R60A,K61A,R66A,R60/K61A,60/61/66A,60/61/66E)。その結果、R66A,60/61/66A,60/61/66E変異体の阻害活性が極めて弱くなり、サーモリシンにより分解された。更にサーモリシンとSMPI複合体の形成をコンピュータシミユレーションした結果は、このことを指示していた。従って、阻害反応部位近傍の塩基性アミノ酸は安定な酵素-阻害剤複合体の維持に必要であると結論した。特にR66の変異が阻害活性を左右していたことから、S1'位の疎水ポケットとの疎水的相互作用に必須であると考えられる。Standard mechanismに従い、阻害反応部位近傍のジスルフィド結合とP68の変異体を作製したところ、いずれも阻害活性が極めて弱くなり、サーモリシンによって急速に分解された。これらの結果から、SMPIが阻害剤として機能するためには、ジスルフィド結合とP68も重要であることが明らかとなった(J.Biochem.,125,202-209,1999)。また、キラートキシン様蛋白がメタルプロテアーゼインヒビター活性を有するか、或いはその逆の事項に関しても精査したが、それらの活性は認められなかった(Biosci.Biotechnol.Biochem.,63,1037-1044,1999)。
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