研究概要 |
(1)未利用動物資源である北海道産アレチマツヨイグサ種子油の脂肪酸組成はそれぞれリノール酸が71%及びγ-リノレン酸が13.7%占めており,市販の月見草油がリノール酸71.7%,γ-リノレン酸9.2%であったのに対し,γ-リノレン酸が4.5%高い値を示した.n-6脂肪酸のα-リノレン酸はアレチマツヨイグサ油には含められていなかった. (2)ラットへのコレステロール負荷条件下での短期投与(6週間)及び長期投与(13週間)実験の結果,短期投与では投与期間を通して成長阻害はみられなかったが,長期投与では月見草油,バイオγ-リノレン酸,紅花油,パーム油及び大豆油より体重増加量は減少した.血液中の総コレステロール濃度は短期及び長期投与の両方ともアレチマツヨイグサ種子油投与区で他の投与区より有意に低下した.また,悪玉コレステロールのLDL-コレステロール濃度も同様に低下した.アレチマツヨイグサ油は肝臓においてコレステロール濃度が短期投与及び長期投与ともに低下傾向を示した.糞便中へのステロール排泄量は,短期投与では各投与区間に変化はみられなかったが,長期投与ではγ-リノレン酸23.1%含んでいるバイオγ-リノレン酸油が他の投与区より有意に増加した. (3)各植物油脂を投与したラットの肝臓におけるHDL及びLDLの主要アポタンパク質であるアポA-1及びアポBのmRNAレベルには大きな差はみられなかった.また,血液中からのLDLの取り込みを担うLDL受容体のmRNAレベルについても変化はみられた. ◎未利用資源として,リノール酸71.0%,γ-リノレン酸13.7%含むアレチマツヨイグサ油のラットへのコレステロール代謝を検討した結果,γーリノレン酸を9%含む月見草油と同様,短期投与(6週間)及び長期投与(13週間)ともに強いコレステロール低下作用を示した.以上,アレチマツヨイグサ種子油にはラット生体内のコレステロールを低下させる機能がみられた.その作用機序はコレステロール負荷条件ではコレステロール合成・代謝及びアポタンパク質への影響ではなかった.
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