研究概要 |
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOFMS)による簡便な血清スルファチドの微量定量法を確立できた。リゾスルファチドのピークの高さを内部標準物質,hydrogenated N-acetyllysosulfatide(分子量585.3183)のピークの高さで除した値(relative peak height)の対数と標準スルファチド量の対数との間には,厳密な検討の結果,2pmolから1nmolという微量範囲で直線関係が得られた。回帰係数は0.95以上の高い値を示した。 この方法を用いて,健常なヒトの血清スルファチド濃度を定量してみた。血清1mlあたり、0.57〜2.09nmolのスルファチドが検出された。個人差を考慮すると,この値は,既存の方法によって測定された値と比べても遜色のない値であった。この方法は,1mlという微量の血清で測定でき,また,一日で定量できるという簡便さを特長としている。さらに,標準誤差も小さく,この方法は再現性,精度の点でもすぐれていることが明らかとなった。以上の研究成果は,Analytical Biochemistry 274巻 pp.90-97(1999)に掲載された。 現在,本方法を用いて,ビタミンKをウサギに投与した際の,血清スルファチド濃度の変動を検討している。
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