研究概要 |
昨年度までにラン藻M228株レクチンmal遺伝子の9割の塩基配列を決定したが、そのN末端およびC末端が得られなかった。そこで、さまざまなプライマーを用いて染色体DNAを鋳型としたPCRを行ったところ、2つのmal遺伝子が存在し、その内の一方については全配列を明らかにした。MAL遺伝子は519残基よりなり、予想される分子量は55,000と予想され、SDS-PAGEより決定された分子量とよく一致した。またmal遺伝子より推定されたアミノ酸配列は既に決定したアミノ酸配列をすべて含んでおり、これがmal遺伝子であると確認した。また、C末端側には61残基からなる繰り返し配列が3個存在しており、C.beijerinckiiのα-アミラーゼと22%の相同性があったことから、この繰り返し配列が糖結合に関与すると考えられる。次に、2個のmal遺伝子の間に翻訳領域が存在したので、それらより推定されるアミノ酸配列についてデータベース検索を行ったところ、チトクロムP450および抗生物質などの合成に関与するポリケチド合成酵素と高い相同性が見られた。これらは、菌類において抗生物質の合成等に関与していることが知られており、合成に関る遺伝子は染色体上の連続した一部にまとまっていることから、mal遺伝子もポリケチドの合成に関与していると思われる。また、サザンハイブリダイゼーション法により、2種のらん藻M204株とNIES-108株でMAL類似遺伝子が存在することがわかった。
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