研究概要 |
本研究は、「揉みの作用」によって均一な乾燥を行う「円筒連続式炒り葉機」の設計・製作、および、炒り葉機の加工精度を量的に示す「炒り葉評価システム」の実用化を検討し、炒り葉工程の改善を行うものである。 本年度は、昨年度に設計・開発した回文式平釜炒り葉機を用い、本機における「揉みの作用」が製茶品質に及ぼす影響,並びに円筒型連続炒り葉機の設計要素を所得した。さらに加工精度の評価については、昨年度の研究成果で述べた面積割合(最適減水率時の葉色分布が、処理葉全体に占める割合)の結果を実用的レベルで視覚的に確認するため,最適な減水率時の色の分布状態を見るソフトウェアの開発を行った。以下に結果を述べる。 1)製作した回文式平釜炒り葉機を宮崎県総合農業試験場茶業市場に持ち込み,1番茶基の「やきぶた」を供試材料として性能試験を行った。試作機は、回転する平釜と平蓋の間隙に生葉に「揉みの作用」を与えるが,昨年度設計時の構造では揉みの強さが弱くかつ茶葉に蒸れ色が見られた。このため,揉みの教科と上記の速やかな排気を行うために平釜と平蓋を改造し,丸リベットおよび排気蒸気孔の取付け・加工が有効であることを確認した。 2)性能試験で得られたサンプルを乾燥し,官能審査に供した結果,投入量40g,釜底温度200℃(加工時間は最適減水率38〜45%となるように調整)の時に最高品質を示した。しかし,丸リベットによる葉痛み,砕粉化も若干見られ,釜や蓋への茶渋の付着と合わせて今度改善策を検討する必要が生じた。 3)昨年度と今年度の成果から,円すい型連続式炒り葉機の設計に着手したが,直径1m程度の円すい釜の加工には特殊な製管技術と高い加工精度を要するため,加工が容易で円すい釜と同等の性能が得られると考えられる円筒型連続式炒り葉機に設計を変更し,製作した。今回は,組立と基礎的性能試験を実施し,目標の温度に到達することを確認した。 4)Visual C++で開発したソフトウェアは,炒り葉のRGB画像に対してRGB各色の階調幅を任意の色に変換して視認させ,任意の色の分布状態を数値化するものである。現在,これを用いてこれまで取得した炒り葉処理葉の画像を解析中である。また現場での適応を考えたリアルタイム化した加工精度の評価システムの開発までには至らなかった。 以上の結果をふまえ、来年度は、円筒型連続式炒葉機の性能試験とリアルタイム式炒り葉評価システムを開発してデータを取得・解析し,研究報告会や研究報告会や学会誌等で成果を公表する予定である。
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