研究概要 |
脂肪過剰蓄積のメカニズムの解明とその制御法の開発を目標として、脂肪組織での主要な脂肪蓄積調節酵素であるリポプロテインリバーゼ(LPLase)の遺伝子・蛋白質発現機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、鶏脂肪細胞培養系の作成と脂肪組織LPLase cDNAのクローニングを行なった。 (1) 鶏脂肪細胞培養系の作成 無菌的に採取した7日齢ブロイラー雛の脂肪組織を供試し、酵素消化法により脂肪前駆細胞を調製した。鶏脂肪前駆細胞は10%FBSを含むM199(Growth medium)で増殖し、Growth mediumに10mM Glucose、200μg/ml Insulin、250nM Dexamethason、33μM biotin、17μM pantothenaeおよび1mM oleic acidを添加すると24時間後に脂肪滴を有する脂肪細胞に分化した。分化した脂肪細胞は、細胞内にトリグリセリドを蓄積し、LPLase活性およびVLDL receptor、LeptinのmRNAを発現しており、鶏の脂肪蓄積機構を分子生物学的に解析するのに適した細胞であることが確認された。 (2) 脂肪細胞LPLaseのcDNAクローニング まず、LPLase発現の活発な鶏脂肪細胞のcDNAライブラリー(ベクター:pBluescript II KS+)を作成した。次に、ブロイラー精製LPLaseのアミノ酸配列よりプローブを作成し、cDNAライブラリーを用いたコロニーハイブリダイゼーションで完全長のcDNAをクローニングすることに成功した。ブロイラーLPL cDNAは2,297bpで、490個のアミノ酸をコードしていた。また、鶏LPLのタンパク質部分の推定分子量は52,601、等電点は7.91と推定され、糖鎖付加を経て活性を持つ成熟LPLとなることが推測された。
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