研究概要 |
フィリピン産野生マウスとC57BL/6J近交系マウスとの交配から得られた戻し交配世代387個体を用いて、生後10週齢体重に関与する量的形質遺伝子座(QTLs:Quantitative trait loci)のマッピング(QTL 解析)を行った。DNA pooling法とselective genotyping法により予備的なQTL探索を行い、QTLsが存在すると推定された領域の数個のマーカー遺伝子座について全個体の遺伝子型を決定した。Interval mapping法とcomposite interval mapping法によるQTL解析の結果、合計7個のQTLs(LOD=2.3-10.7、3.7-11.6%の表現型分散を説明)をマウス第2,9,11,13,X染色体上にマップすることができた。第2染色体のQTLは雌雄両性において検出されたが、残りのQTLsは全て一方の性のみで検出された。全てのQTLsについて、野生マウス由来の対立遺伝子が体重を減少させた。第2染色体のQTL近傍には現在までに体重成長に関与するQTLsが発見されていないことから、新規なものであると考えられた。データベース検索の結果、候補遺伝子としてグルカゴン(Gcg)が挙げられた。その他のQTLsでは2個以上の候補遺伝子が挙げられた。また、各QTLにおける家畜の相同染色体領域は次の通りであった。第2染色体のQTL:ウシ11q26または15、ブタ1または15;第9染色体のQTL:ウシ9または10q2、ブタ1p1または7peterq2;第11染色体のQTL:ウシ19、ブタ12p;第13染色体のQTL:ウシ10;X染色体のQTL:ウシとブタのX。
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