研究概要 |
バイオマス資源としてキチンを有効利用するための研究が各方面で行われているが,現在のところその使用量はわずかであることからキチナーゼの研究は重要である.これまでに,Aeromonas sp.No.10S-24株には原核生物であるにもかかわらず,糖鎖が付加していることを明らかにしていることから,この糖タンパク質の糖鎖部分の構造とその機能を明らかにするための研究を行った. キチンを含む培地にAeromonas sp.No.10S-24株を接種し,ジャーファーメンターを用いて大量培養し,その培養上清をイオン交換クロマトグラフィー,ゲルろ過クロマトグラフィー,クロマトフォーカシング等にかけることにより電気泳動的に均一なキチナーゼを単離した.また,菌体の方は集菌し,超音波破砕後の上清を各種クロマト操作を行うことで,β-N-アセチルグルコサミニダーゼを精製した.キチナーゼVIIIの糖含量を調べたところ,中性糖7.9%,アミノ糖6.5%含んでいた.またキチナーゼVIIの糖組成ならびにその含量を調べたところ,N-アセチルグルコサミン11.7%,ガラクトース13.6%,グルコース0.23%と未同定の糖が数種類存在した.次に,β-N-アセチルグルコサミニダーゼの中性糖(8.6%)とアミノ糖(Rondle&Morgan法では検出できず)を調べるとともに,β-N-アセチルグルコサミニダーゼの糖組成分析を行った.その結果,マンノース,ガラクトース,フコース,N-アセチルグルコサミン,ならびにN-アセチルガラクトサミンが検出され,さらに同定できないピークが2,3存在した. 今後は,キチナーゼならびにβ-N-アセチルグルコサミニダーゼの糖鎖構造を明らかにしていく予定である.
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