研究概要 |
免疫組織学的検討:AILD型T細胞性リンパ腫およびその他のT細胞性リンパ腫における腫瘍細胞、非腫瘍細胞におけるRANTES(regulated upon activation,normal T cell expressed and secreted)の発現の有無について検討した。AILD型およびその他のTリンパ腫について、RANTES陽性症例数は、それぞれ15/18,26/39例で、特に差はみられなかった。RANTESは非腫瘍性の小型リンパ球に発現する例がほとんどで、ときに組織球系の細胞にも陽性を示した。しかし、腫瘍細胞やFDCの陽性像はみられなかった。RANTESの発現と組織型やFDC増性の有無との間に明らかな関連性は見出されず、RANTESがAILD型Tリンパ腫の特徴的な組織像やFDCの増生に関与している可能性は少ないと考えられた。 遺伝子学的検討:T細胞受容体γ鎖の再構成については新しいprimerなどを用いて再検討したが、中間報告時の陽性症例数と差はなかった。AILD型Tリンパ腫のなかに、FDC network内にIgD陽性Bリンパ球が集簇し、かつIgMあるいはCD10が陽性を示さない、すなわち通常のマントル層や胚中心とは異なる環境を形成していると考えられる症例が存在する。この症例のnetwork内IgD陽性リンパ球のsomatic mutationについてsingle cell PCRを用いて検討し、扁桃のマントル層IgD陽性リンパ球のsomatic mutationの頻度と比較した。その結果、mutationの頻度に差はみられず、FDC network内のIgD陽性リンパ球がFDCにより抗原提示を受けている可能性は現在のところ少ないと考えられた。今後は、pick upする細胞数と検討する症例数を増やす必要があると考える。
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