研究課題/領域番号 |
10770110
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奈良 武司 順天堂大学, 医学部, 助手 (40276473)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | トリパノソーマ / ピリミジン塩基 / 新生合成 / 薬剤開発 / 組換えタンパク / 分子系統樹 |
研究概要 |
ピリミジン塩基合成系の第二酵素aspartate carbamoyltransferase(ACT)は、哺乳類では第1、第3酵素と融合した多機能蛋白として存在するが、クルーズトリパノソーマ(Tc)のACT(TcACT)は、単独の、調整サブユニットを持たない酵素として存在する。また、前年度の研究からTcACTは基質特異性が哺乳類酵素と大きく異なり(論文投稿中)、そのことから治療薬の標的候補としても有望であると考えられる。本年度はTcACTの高次構造解析のための結晶化を試みた。沈澱剤としてPEG及び硫安を用いて検討したが、現在のところ結晶は得られておらず、種々の条件について検討を進めている。またピリミジン合成経路のTcにおける特異性や哺乳類との相違点を、経路全体の分子進化の産物として位置付けた上で、ピリミジン合成に関わる全6酵素についてそれぞれ分子系統樹を作製した(投稿中)。その結果、第4、第6酵素を除く各酵素の系統樹上で、Tcは真核生物のごく初期に分岐したものと推定された。一方、Tcの第4酵素は酵母、乳酸菌のそれと同一のグループに属し、Tcが同酵素遺伝子を二次的に獲得したものと考えられた。この結果は第4酵素の生化学的性状と一致した。第6酵素は、Tcでは第6/第5の順に融合した蛋白(哺乳類では第5/第6の融合)で、トリパノソーマ科原虫に特徴的な細胞内小器官グリコソームに局在していると考えられている。第6酵素の分子系統樹を作製したところ、興味深いことにTcは好熱細菌や結核菌とのみグループを形成し、その起源が哺乳類型酵素とは異なること、生化学的にも哺乳類酵素とは異なる性質を持つことから、Tcの第6(第6/第5融合)酵素の、薬剤標的酵素としての可能性が示唆された。
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