研究概要 |
本研究の目的は、ローリングサークル型複製を遂行するEpstein-Barr virus(EBV)の複製蛋白質であるDNAヘリカーゼとDNAプライマーゼに焦点をあて、複製フォークがどのように機能しているのかを明らかにしていくことにあった。得られた成果は以下のとうりである。 1)EBV産生B細胞(B95-8)の抽出液に対して免疫沈降反応を行った結果、抗BSLF1もしくは抗BBLF2/3蛋白質特異抗体は、EBVDNAヘリカーゼ・プライマーゼの構成蛋白質と思われるBSLF1、BBLF4及びBBLF2/3すべての蛋白質を沈降させた。さらに、BBLF4、BSLF1もしくはBBLF2/3蛋白質を発現する組換えバキュロウイルスを作成し、その共感染昆虫細胞抽出液を用いて各種蛋白質間の詳細な相互作用について検索した結果、BSLF1、BBLF4及びBBLF2/3蛋白質は互いに相互作用しながら3者の複合体を形成することが明かとなった(Yokoyama et al.,J.Gen.Virol.,1999)。 2)また、これら3者の複合体と相互作用する他のEBV複製蛋白質についても免疫沈降反応を用いて検索を行った結果、抗BSLF1もしくは抗BBLF2/3蛋白質特異抗体はB95-8細胞抽出液からEBVDNAポリメラーゼ複合体を構成するBALF5(Pol cata1ytic subunit)及びBMRF1(Pol accessory subunits)蛋白質をも沈降させた。さらに組換えバキュロウイルスを用いて詳細な蛋白質間の相互作用について検索した結果、DNAポリメラーゼ複合体はBALF5蛋白質を介してEBVDNAヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の各構成蛋白質すべてと相互作用していることが明かとなった(Fujii et al.,J.Virol.,2000)。 これらの成果より、DNAヘリカーゼ・プライマーゼ複合体とDNAポリメラーゼ複合体が相互作用しながらEBVの複製フォークが進行していることが示唆された。
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