研究概要 |
1)カドミウム暴露レベル別の肝障害:日本白色種のウサギ30羽を3群に分け、第1群には0.3mgCd/kg,第2群には3mgCd/kgの塩化カドムウムを連日皮下投与し、第3群は無処置とし対照群とした.経時的に肝機能(血漿GOT,GPT,ALP,γ-GTP,アルブミン,A/G比,コリンエステラーゼ)を測定し,高濃度カドミウム投与群の肝機能障害が著しいことを明らかにした. 2)カドミウム暴露中止後の腎障害の回復と再発症:日本白色種のウサギ30羽を3群に分け,第1群には0.3mgCd/kg,第2群には3mgCd/kgの塩化カドミウムを連日皮下投与し,第3群は無処置とし対照群とした.経時的に肝機能,腎機能,血漿カドミウムチオネイン,血漿と尿のカドミウムを測定する.肝機能,腎機能異常が発症した時点でカドミウム投与を中止した場合,肝機能,腎機能の回復,それと同時に血漿カドミウムチオネインの濃度も低くなった.さらに再発症するまで,経時的に肝機能,腎機能,血漿カドミウムチオネイン,血漿と尿のカドミウムを測定する.再発症時に血漿カドミウムチオネインの濃度が高くなった.さらに,高濃度カドミウム投与群の再発症は低濃度カドミウム投与群より早かった. 3)カドミウム暴露レベル別の肝,腎皮質のメタロチオネイン蛋白濃度:発症時と再発症時に屠殺したウサギの肝,腎皮質のメタロチオネイン蛋白濃度をELISA法で測定した.発症時のウサギの肝,腎皮質のメタロチオネイン蛋白濃度は再発症時の濃度より高かった.また,低濃度カドミウム投与群の肝,腎皮質のメタロチオネイン蛋白濃度は高濃度の投与群より高かった. 4)結論:低濃度のカドミウム暴露により,肝臓,腎臓のメタロチオネイン蛋白を誘導し,カドミウム中毒を解消する.また,肝機能の回復により腎機能も回復できる.臨床的に肝機能の治療はカドミウム中毒に対して重要なことが明らかになった.
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