研究概要 |
本研究は、砒素とフッ素、そして、砒素と半導体組成元素における毒性の相互作用を検討した。細胞は正常ヒト肝臓細胞(Chang Liver)を用い、検討した元素はAsと9元素(F,Se,Cu,Zn,Mn,Ni,Fe,Ba,Sr)、そして、7つの組み合わせ(As+Ga,As+In,As+Al,As+Ga+In,As+Ga+Al,As+In+Al,As+Ga+In+Al)を作り、5,10.50,100μMの濃度になるように調製した。 As,F,Se,Cu,Zn,Mn,Ni,Fe,Ba,Srの10元素を100μMの濃度になるようにそれぞれ単独で添加した条件下で培養したところ、各元素により細胞増殖はAs,Seの順で著しく抑制された。Cuは弱い抑制が認められたが、Sr,Ba,F,Ni,Mn,FeおよびZnは増殖抑制が認められなかった。次にAsと他の元素との間の相互作用を調べるため、Asの共存下で、9元素を5,10,50,100μMの濃度になるようにそれぞれ添加した条件で培養した。Asを単独で添加した場合、対照群と比較して、細胞の増殖を60%抑制させた。一方、Fを単独で添加した場合、5μMから100μMに濃度を上げても、細胞の増殖抑制は認められなかった。Fを5,10,50,100μMになるように調製し、それぞれAsと同時に曝露した場合、Fは100μMの濃度でAsによる細胞増殖の抑制を軽減させた。 As,Ga,In,Alの組み合わせの場合、Inを含み、かつ、Alを含まない組み合わせ、As+In,As+Ga+InにおいてはAs単独よりも細胞毒性が軽減させた。一方、Inを含まない組み合わせ,As+Ga,As+Al,As+Ga+Al及びInとAlの両方を含む組み合わせ,As+In+Al,As+Ga+In+AlにおいてはAs単独の場合と比較して,細胞増殖に対しての影響は認められた。
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