研究概要 |
1 ALDH2ノックアウトマウスの作成 F2マウスから戻し交配を行った結果N7まで進み、戻し交配はほぼ完了した。今後はマウスの諸実験に用いると共に、Aldh2 homo mutantマウスを凍結受精卵として保存する。 2 in vitro系でのALDH2の解析(F2およびF3マウス肝粗画分での検討) (1)ミトコンドリア分画のアセトアルデヒドに対する酵素活性は、Aldh2 homo wildマウス由来の場合と比較してheterozygoteでは約1/2に低下、homo mutantでは完全消失していた。 (2)抗ALDH2抗体を作成し、粗画分をwestern blot法で解析した。抗体はALDH2+/+、+/-mice由来ミトコンドリア分画を認識し、そのタンパクはリコンビナントmALDH2と等しいサイズを示した。 (1),(2)の結果から、mALDH2欠失を目的としたAldh2 targetingの成功は、タンパクレベルでも証明された。 (3)各種基質に対する酵素活性を測定、比較した。ミトコンドリア分画の活性レベルはALDH2の基質となる複数のアルデヒド体に対してAldh2 gene dosage effectが認められたが、細胞質分画の活性にはAldh1,3の選択的気質に対してgenotypeの影響は認められなかった。よってALDH2欠失時もAldh1,3の代償は発生していないと推測された。 3 メトキシエタノール(ME)の連続経口投与(5日間)による精巣毒性 F3マウスでは300mg/kgBW/day以上で精巣重量の有意な低下を示し、組織像としては精母細胞に障害が観察された。2-(3)でhomo mutantマウス由来肝粗分画のみMEの代謝産物に対して酵素活性を持たなかったことから、現在ALDH2欠損が上記精巣障害に及ぼす影響を検討中である。
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