研究課題/領域番号 |
10770192
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
柿崎 英二 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70284833)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 溺死 / SP-D / サンドイッチエライザ / 特異抗原 / 肺臓 / サンドイッチELISA |
研究概要 |
SP-Dを指標としたサンドイッチ酵素免疫測定法による溺死診断法の開発を目的として、本年度は、1)健常者の血清中SP-D濃度の測定、2)血清へのSP-Dの添加回収試験、3)溺死例の血中SP-D濃度の測定について検討を行った。 1)健常者の血清中SP-D濃度;開発した測定系を使用し、血清中(男女各10例)の血清中SP-D濃度を測定した結果、男性で6.6±1.9ng/ml(Mean±SD)、女性で6.2±1.8ng/mlを示し、特に性差を認めなかった。2)SP-Dの添加回収試験;血清(男女各3例)に一定量のSP-Dを添加し、その回収率を検討した結果、血清5μ1に0.52ng及び5.2ngのSP-Dを添加した場合の回収率は、93.6±2.7%及び93.6±6.1%を示し、血清10μlに0.52ng及び5.2ngを添加した場合では、90.5±8.5%及び93.2±6.3%を示し、何れも高い回収率を示した。3)溺死例の血中SP-D濃度の測定;海水での溺死14例、淡水での溺死12例、縊死10例、並びにその他の非溺死例として心不全、失血、外傷性ショック等を死因とする15例の血中SP-D濃度を測定した結果、海水での溺死例は、淡水での溺死例よりも平均値で約1.4倍有意に高く検出され、水質の違いにより血中SP-D濃度は2群に大きく分かれることが明らかとなった。また淡水での溺死例は、縊死例と比較すると平均値で約2.0倍、さらにその他の非溺死例と比較すると約3.7倍高く検出された。縊死例の血中SP-D濃度がその他の非溺死例と比較して高く検出されていることは、血中SP-D濃度の上昇は、溺水吸引に因らないいわゆる窒息の病態にも反映していることを示唆するものと思われた。以上の結果から、溺死時には血中のSP-D濃度が有意に上昇していることが確認され、溺死の診断への有用性が見出された。更に上記の結果は、2編の論文にまとめた。
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