研究概要 |
本年は昨年に引き続き、新たに構築したタンパク切断型のAPC遺伝子変異検出系(YPTT test,SC asay)をヒト臨床サンプルについて行い多発大腸腺腫のAPC遺伝子診断を行った。本年に特に重点的に行った点は以下の通りである。 a)SC assay改良版としてleucine,uracil欠損培地で、変異APC遺伝子をネガティブなコロニー形成能でスクリーニングしたのに対して、SC培地に-leu,+uracil,5-FOA(fluoro-orotic acid)を添加することで、ポジティブなスクリーニングを可能にした。これにより,より一層簡単なAPC遺伝子異常のスクリーニングが可能となった。(投稿準備中) b)昨年に引き続き、患者より採取した臨床サンプルの解析を行ったが、のべ50検体の大腸腫瘍を解析に用いて、APCのDNAの複製異常を伴うような遺伝子多型は検出されなかった。(投稿準備中) 以上の結果から、現時点においてはアシュケナージユダヤ人に認められたようなAPC遺伝子のcodon1307のようなDNA複製のエラーを伴う遺伝子多型は認められていない。なお今後、更に症例を積み重ねて検討の予定である。a),b)において改良を行ったAPC遺伝子解析法に関しては、一部をまとめて文献1)にまとめて発表した。 1)鈴木貴夫、金丸龍之介:がんの遺伝的感受性-発がんの遺伝的要因とその解析法- 癌と化学療法26,1971-1979,1999
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